2008年12月31日水曜日

ワンランク上の前衛になる・14

前衛のやるべきことを再確認しよう
ボールが見えなくなったら相手の目を見る

 ボールは、(1)見える間はそれをしっかり見る、(2)見えなくなったら相手の目を見る、と心掛けよう。(2)の方が分かりにくいと思うが、要するにボールが自分の後ろに行った場合は、相手前衛またはネットダッシュしそうな選手の目を見て、味方後衛が打つボールのコースや高さなどを予測するということ。そして、そのボールが処理されそうなときはフォローに入り、相手後衛へ深く行きそうなときは誘いや攻めの動きをするなど、臨機応変に動くのだ。
 率直に言って、これはかなり高度な技術。上級者の中でも、きちんとできている選手は少ない。しかし、これができるかどうかが、ランクアップできるかどうかの分かれ目でもある。実戦を数多くこなせば必ず身に付くものなので、ぜひマスターするように頑張ってほしい。ゲーム形式で声をかけながら、3~4時間ほどチェックすれば大丈夫だ。

2008年12月30日火曜日

ワンランク上の前衛になる・13

前衛のやるべきことを再確認しよう
つま先荷重で動くこと

 選手は、つま先荷重(つま先に重心を乗せる)のフットワークが基本。特に前衛は、フェイントの切り返しの連続なので、つま先荷重が大切なポイントだ。ネットダッシュでは、相手後衛がバックスイングしたときに一瞬ダッシュが止まってかかと荷重になるが、その後すぐにつま先荷重にしなければならない。かかと荷重だと、特にボールが正面に来たとき、身体をさばけない。いずれにしても、軽快な足の動き出しは、つま先に体重をかけることから始まると覚えよう。ピンと来ないという人は、ジャンプするときに、つま先荷重とかかと荷重のどちらが自然かを考えれば、以上の理屈が理解できるはず。両足ともつま先を上げてジャンプしても、うまくできないはずだ。

2008年12月29日月曜日

ワンランク上の前衛になる・12

前衛のやるべきことを再確認しよう
前衛の動き方、ボールの見方のポイント

 瞬時の俊敏な動きが要求される前衛にとっては、待球姿勢をきちんととることが大切。ヒザにある程度のゆとりを持たせ、ネットに近ければ高めの姿勢、ネットから離れれば低めの姿勢をとるのが基本だ。
 なぜ、ネットから離れれば離れるほど低めの姿勢にするのかというと、ローボレーを打たされることが多くなるからだ。逆にネットに近ければ、ネットの高さがある分相手も足元へは狙いにくいので、少々高めの姿勢でもかまわない。その場合は、ラケットもやや高めに構える。利き腕だけに頼らず、イチョウの部分に反対の手を添えて、身体とラケット面をリードしていこう。
 それから、待球時の身体の向きに関しては、相手の打球者に対して「正対」する事を忘れずに。両肩を結んだ線と、打つ選手に向かう仮想戦が直角に交わればいいのだ。

2008年12月28日日曜日

ワンランク上の前衛になる・11

前衛のやるべきことを再確認しよう
「押し出しプレー」も心掛ける

 「押し出しプレー」とは、ラインぎりぎりなどの難しい所を相手に狙わせて、アウトやネットなどのミスを誘う方法。たとえば、相手前衛にボールが行った場合では、その選手が打つ瞬間に自分の動きを見せてやればいいだろう。
 もちろんその時は、ただむやみに動くのではなく、相手前衛が打ちそうな方向を瞬時に予測して動くこと。打とうと思っていた方向にサッと動かれると、相手は拾われまいとして、より際どい所へ打とうとするだろう。そうすると、余計な力が入ってミスすることも増えるはずだ。少なくとも、相手のネットプレー1本で決められる可能性は低くなるし、思わぬミスでラッキーなポイントを取れることもある。もちろん間違った方向(予測違いの方向)へ動いてしまっても、全く気にする必要はない。相手前衛にしてみれば、打つ直前に動かれること自体、大変イヤなものだからだ。
 なお、動くときは「入射角と反射角の原理」を頭に入れておくこと。味方後衛が打った後でポーチボレーされたボールは、相手前衛のラケット面に対して、入った角度とほぼ同じ角度で飛んでいくのだ。

2008年12月27日土曜日

ワンランク上の前衛になる・10

前衛のやるべきことを再確認しよう
勇気を持ってラリーのボールに近づく

 いつでもテンポ良くポイントを取れればいいが、実戦では後衛同士の長い打ち合いになることが少なくない。そしてそういう時こそ前衛の力量が問われる。
 つまり、このような膠着状態では、前衛がどれだけ勇気を持ってラリーのボールに近付けるかが鍵。前衛同士のポジション取りの競い合いとも言える。ミスを恐れず(実戦ではミスは付き物)に、勇気を持ってネットプレーに挑戦してほしい。気負わずに、まずは1試合につきポーチボレー3~4本、ポーチスマッシュ1本を目標にしてみよう。

2008年12月26日金曜日

ワンランク上の前衛になる・9

前衛のやるべきことを再確認しよう
相手後衛に嫌がられるポジションにつく

 前衛の「やるべきこと」として第一に挙げられるのは、相手後衛に嫌がられるポジションにつき、相手後衛が打つボールのコースを限定させるということだ。
 そうすれば、甘いボールが来やすいし、無理なストロークなど、相手のミスによってポイントを得る確率も高くなる。ただしその場合は、味方後衛が打ちにくくならないように注意。守備範囲としては、自分が全体の3分の2、味方後衛が3分の1くらいをだいたいの目安に、適切なポジションを工夫しよう。調子の良いときは、このくらいの感覚でプレーする。

2008年12月25日木曜日

ワンランク上の前衛になる・8

戦術面のポイント
できるだけ同じ陣形でプレーする

 相手の力量にもよるが、実戦では陣形を崩されることがよくある。しかし、陣形はあまり変えずに、できるだけ同じようなパターンで戦った方が有利だ。それがまた上達するための秘訣のひとつでもある。
 前衛としては、まず相手後衛に打球のコースを変えさせないことを心掛けよう。相手の得意・不得意を素早く見極め、ここにしか打てないというようなパターンに持ち込むのだ。これには、かなりの根気も必要。焦らず、じっくりと攻撃していこう。
 もちろん、前衛ひとりが頑張ってもうまくいかない。後衛としては、ミスをせずにラリーを最低10本くらいは続けられるようにしておきたいものだ。

2008年12月24日水曜日

ワンランク上の前衛になる・7

戦術面のポイント
積極的な気持ちでプレーし、相手の得意なショットを封じる

 当然のことだが、ワンランク上の前衛を目指すなら、常に積極的な気持ちを忘れてはならない。この積極性が、威力のあるポーチボレーやスマッシュ等に必ず結びつくし、何よりも攻撃的な姿勢は、相手を威圧することにつながるものだ。相手に自分の姿を見せつけて、1ゲームぐらいは「自分1人の力で取る」くらいの意気込みでプレーしてもいいだろう。 
 また、相手の得意なショットを徹底的に封じ込むのも非常に大切なこと。どうにも手の施しようがなくなった時など、プレーヤーはどうしても得意な技術に頼りたがるが、それをあらかじめ極力封じておけば、もう自分の有利さは絶対に揺るがないはずだ。

2008年12月23日火曜日

ワンランク上の前衛になる・6

戦術面のポイント
波状攻撃などに挑戦

 ポイントを挙げるための方法はいろいろある。たとえば波状攻撃。これは、積極的にどんどん責め立てていって、ポイントにつなげるやり方。積極的にポーチに出る、中途半端なロブは迷わずスマッシュで決めにいくなど、とにかく思い切りの良さが必要になる。前述の「苦しい状況の中で生まれたチャンスを逃さず逆襲していく」のとは、ちょうど逆のタイプの方法だ。
 また、相手をどんどん追い込んでいくのも有効な手段。まず試合の序盤でラリーをたくさんやって(相手に積極的に打たせて)、手の内をすべてさらけ出してもらうのだ。このとき自分の方は、全力で向かわなくてもいい。6割から7割の力で十分だ(もちろんこちらも作戦を立てての対応である)。弱いペアほど「先行息切れ」のパターンに陥りやすい。この方法で、ゲームを重ねるにつれて、じわじわと相手を追いつめていってみよう。

2008年12月22日月曜日

ワンランク上の前衛になる・5

戦術面のポイント
相手の攻めに耐えて逆襲する

 戦術面に関しては、まず相手の選手が「どこへ」「どんなボールを」「どんなタイミングで打ってくるか」を素早く予測すること。これは慣れていないとなかなか難しいことなのだが、練習や試合の中で、次の1打の読みに磨きをかけていく。素早く瞬間的に動かなくてはならない前衛にとっては、この予測はなくてはならないものだ。
 もちろん、その下地となるのはコンビネーションの確立だ。自分が、あるいはパートナーが、相手の厳しい攻めに対して耐え、そして苦しい状況の中で生まれたチャンスボールを逃さず逆襲していくことが、何よりも大切。上級者ほど一瞬で、ピンチをチャンスに変えることができる。

2008年12月21日日曜日

ワンランク上の前衛になる・4

技術面のポイント
体の動きでボールをさばく

 ネットプレー、特にボレーは、体の動きでボールをさばくこと、これが大事だ。利き腕とラケットの動きだけで打っている人がよくいるが、これではレベルアップは望めない。ラケットはある程度固定しておき(大きく動かさず)、体をしなやかに動かして、速いテンポのネットプレーに対応していこう。
 特に、相手からのボールが体の正面に来たときなどは、よりしなやかな体のこなしが必要。実戦では体の正面を狙われやすいからだ。飛んでくるボールの軌道から体をさっとそらせて、ラケットは決して振り回さず、面を作って柔らかく返すように心がけること(半身の捕球体勢で、ラケットに添えていた手を最後に離す)。

2008年12月20日土曜日

ワンランク上の前衛になる・3

技術面のポイント
門を狙って打つ

 門を狙って打つ-要するに、相手ペアの間をめがけて打つということだ。しかし、上達のためには必要不可欠なこのことが、意外とできていない場合が多い。相手前衛に取られるのを恐れて、どうしても狙えないようなのだ。だが、理にかなったこの鉄則を使わない手はない。相手2人の間に打てば、間を抜けてその1本で決まる可能性も高いし、角度をつけてサイドへ打つよりも、次の1本に対する守りが楽だからだ。レベルが高くなればなるほど、あえて狭き門を狙ってくるもの。門が狭くても思い切りよく打って決められるかどうかが、中級者と上級者の違いのひとつと言えるだろう。

2008年12月19日金曜日

ワンランク上の前衛になる・2

技術面のポイント
ローボレーの強化

 レベルの高い相手との試合では、ネットから離れたポジションでローボレーを打たされることが多い。サービスライン付近で低いボールをうまく打てるかどうかが、ポイントの行方、そして試合の行方を大きく左右すると言ってもいいだろう。ローボレーを打つときに注意すべきなのは、コースよりも深さである。相手のベースライン近くに順回転のボールを送れば、高めに弾んで伸びていくので、相手を後方へ追いやることができ、すぐ次に攻撃されることはまずない。
 もちろん深さだけでなく、コースを狙っていければそれに越したことはない。基本は、相手のベースラインを3分割したその内側に打つこと。自分から見て後衛が左寄りにいる場合は、左3分の1の内側付近を狙っていこう。こうすれば、次に角度のついたボールは返ってこないので、非常に守りやすいのだ。コーナーなど、サイド寄りに打ってしまうと、角度をつけて切り返されやすいので注意。
 そしてローボレーを打った後はネットの前で相手に「姿を見せる」すなわち動きを見せることが大切。動くことによって、相手前衛の足を止めたり、後衛にいろいろと考えさせて迷わせたり、打つコースを狭めさせたりするのだ。なお、後衛(自分のパートナー)が短いボールなどによってやむを得ず前に引っ張り出された場合は、とことんつないでいくこと。ネットプレーの不得意な後衛が無理に決めに行こうとしても、ミスをしやすい。ラリーに持ち込み、機を見てベースラインに戻り、本来の陣形で勝負しよう。

2008年12月18日木曜日

ワンランク上の前衛になる・1

技術面のポイント
大きく動きながらのストロークを完璧に

 「自分は前衛だから」といって、ネットプレーだけを練習していてはいけない。前衛・後衛と役割は決まっているが、高いレベルを目指すなら、基本的にすべてのショットをこなさなければならない。
 したがって前衛であっても、サーブはもちろん、ストローク力の強化が不可欠。特に大事なのは、大きく動きながら(走りながら)のストロークだ。実戦では、前後左右、さまざまな方向へ動きながら打たなければならない。このようなランニングショットは、軸足に体重を乗せにくいので、通常のストロークよりやや難しいかも知れないが、ラケットヘッドを下げてからインパクト面を作るように心がければ、手首のゆとりができ、ドライブ回転(順回転)の安定したボールが打てる。

2008年12月17日水曜日

タメを生み出すポジション取り・10

どこへ移動すれば良いのか

 相手が打ち込んでくるボールを待ち構えるといっても、どこで待てばいいのだろう。「ボールを打った後は必ず自分のポジションに戻れ」と教えられた経験は誰しも持っているだろうが、はたして本当にそれだけで十分だろうか。
 もしも、相手が打ち返してくるコースが分かっていたとしても、自分のポジションに戻らなければならないのだろうか。そんなことはないはずだ。分かっているなら最初からそのポイントへ走っていけば良い。「そんなことできるはずないやないか」と思う人もいるだろう。
 だが、完全な位置を知ることはできなくても、相手がボールを打つ位置から自分のコートに入れてくるためには、どのコースで飛んでくる確率が一番高いかを計算すれば、だいたいどこで待ち構えているのが効果的かを知ることができる。ボールが飛んでくると予測される範囲の中央にいるのが、ベスト・ポジションということになる。
 相手が打ってくるであろう位置をあらかじめ計算し、そこに早く移動して待ち構える。これこそが、余裕を作り、十分なタメを生み出すコツなのである。

2008年12月16日火曜日

タメを生み出すポジション取り・9

早い移動を実現するには…

 では、早く移動するにはどうすれば良いか。自分がボールを打った後、打球を見ながらボーッとしていることなく、すぐに次の打球に備えて動き出すことがもっとも肝心だ。ブロック予選レベルの選手の中には、自分が打ったボールの行方をジーッと見ている人も多いが、これではいつまでたってもタメのあるフォームを身につけることはできない。ボールを打った瞬間から次の打球位置に素早く移動することを考え、相手が打ち込んでくるボールを待ち構えていれば、時間的余裕がしっかりしたタメを作り出してくれる。

2008年12月15日月曜日

タメを生み出すポジション取り・8

早い準備をするには…

 さらに解き進んでみれば、自分がボールを打ってから次の打球を打つまでの限られた時間の中で、いかにして余裕を作っていくかが課題となってくる。
 この答は簡単にはじき出せる。つまり、与えられた時間の中で動き始めを早めるか、終わりをさらに遅くするかだ。終わりを遅くするのはうんと下がって打てばいいことだが、攻撃的な打球は打てないし、相手にも十分すぎるほどの時間を与えてしまう。
 ならば動き始めを早くする方が正解だ。早く次の打球体勢の準備を始めるのだ。要するに、早く次の打点へ移動すれば、準備するための時間を確実に延ばすことができる。
 打球動作の中で早い時期にタメを作るのみならず、その打球動作に入ること自体を早めてしまう。これで次の打点へ早く移動することができる。

2008年12月14日日曜日

タメを生み出すポジション取り・7

時間的余裕を生むには…

 ならば時間的余裕を持たせるためにはどうすれば良いのか。簡単に言えば、「準備を早くする」ということだ。タメられない人というのは、ボールが出てきたときには膝が伸び切っていて、ネットを越えてきたあたりから動作を始めるので、あわててラケットを振ることになってしまう。これではタメを作るどころか振り遅れてしまう。自分のスウィングに間を作ってやるには、相手の打球に合わせて膝を曲げておき、早くから打球動作の準備をしておかなければならない。

2008年12月13日土曜日

タメを生み出すポジション取り・6

タメを作るには…

 いくら早く打球体勢に入れといっても、あわててラケットを引くようではタメはできない。バタバタと準備していては、かえって気持ちに焦りを生じる。タメを作るには、身体の動きに時間的余裕を持たせることが必要なわけだ。

2008年12月12日金曜日

タメを生み出すポジション取り・5

タメを作るには何をすれば良いか

 よく「君はタメがないからもっとタメて」と言われる人にとって、いったい何がタメで、どうすればタメられるかわからない場合も多い。「タメ」を作るには、まずどうすれば良いのか。

2008年12月11日木曜日

タメを生み出すポジション取り・4

打点に幅を持たせる「間」

 下半身のバネにパワーをためておけば、打点までのスウィングがたとえ十分でなくても、それほど貧弱な打球にならずにすむというメリットも生まれる。
 ということは、タメがあることによってボールをほんの少し遅らせて打つことができるわけだ。膝が曲がっていることで身体にパワーが蓄積されており、多少後ろの打点でも打球を持って行くことができる。打点はひとつであるように見えるが、タメのできている選手の感覚としては、幅を持った線上にいくつもの打点が存在する。いつも一定の打点で打っていれば相手も早い段階で打球コースを予測することができるが、打点を自在に変えることができれば、打ち出すコースは相手に読まれにくくなるというメリットも生まれる。
 また、後ろ膝が曲がった状態で構えることができれば、相手の打球に食い込まれたとしても、まだ有効な打球を打ち返す余裕が残されることになる。それを知っていれば、身体に余計な力を入れることなく、落ち着いて対処することができる。タメは精神的にも余裕を与えてくれる重要な要素となるのだ。

2008年12月10日水曜日

タメを生み出すポジション取り・3

タメは推進力の土台、第1段ロケット点火直前状態・2
肩を入れる第2のタメ

 もう一つの「タメ」として「状態の捻り」という要素がある。後ろ足の膝を曲げ、膝頭を斜め後ろに向けてやれば、状態は自然と軽いクローズド・スタンス同様になり、いわゆる「肩が入った状態」になる。これが第2のタメである。
 膝のバネが重心移動による前への推進力なら、これは捻れを戻す回転力を増してくれるものだ。そればかりではない。グッと肩を入れることで、相手はこちらがどこに打ってくるかを読むことが、きわめて困難になる。
 こちらは視覚的に印象が強いため、相手に「いかにもタメられている」という感覚を与え、プレッシャーをかける効果も大きい。

2008年12月9日火曜日

タメを生み出すポジション取り・2

タメは推進力の土台、第1段ロケット点火直前状態・1
膝をバネのように使う、第1のタメ

 具体的な身体の動きとして「タメ」を考える場合には、ボールを打つための構えに入ったときに後ろ足の膝を曲げていくこと、この膝の曲げ具合が間の取り方、タメに大きくつながる。
 例えば相手の速い打球を受けるときでも、膝を曲げずに突っ立ったままでは、ただ力のない打球を返すだけしかできない。この状態で強い打球を打とうとすれば、状態に力が入ってますますパワーは発揮しにくくなる。
 また、スマッシュを打つときにも、リズミカルなステップを行いながら打球のポイントに合わせて、後ろ膝を沈み込ませて間を取ってやる。この後ろ膝の沈み込みが「タメ」となり、振り出しのきっかけがつかみやすくなるのだ。
 それに膝が伸びたままスマッシュしようとすると、最後にバランスを崩してしまうことになる。
 「タメ」はすべてのストロークにあると思って良い。相手からボールが打ち出されたときに後ろ膝を曲げて間を取ってやることでスウィングをスムーズに行えるようになるわけだから、グラウンド・ストロークはもちろん、ボレー、スマッシュ、サーブにも「タメ」の意識はあるはずだ。
 例えばロブが上がってスマッシュを打とうというとき、時間がありすぎるためにバタバタしてしまう場合がある。こんな時しっかりと膝をグッと入れてタメを作っておけば、ボールがどんな具合に変化しても対応できるようになる。
 ここまで膝の曲げばかりにこだわってきたようだが、実際にコートに立ったときにはあまりここに意識を持って行きすぎない方が良い。あまりに身体の一点に意識を集中しすぎると、身体全体に力が入ってしまうことになる。
 要するに下半身にバネを作ってやるのだ。後ろ足の膝を曲げることは、重心移動のための準備、ここにパワーをためることで打球方向への推進力の土台を作ってやることになる。

2008年12月8日月曜日

タメを生み出すポジション取り・1

パワーとタイミングの制御装置、それがタメ

 次の動作に移るためのエネルギーが充満した状態、これがタメと言われるものである。金槌で釘を打つときなど、それを振り下ろす直前に一拍ある。
 ソフトテニスでは、ボールを打つための準備段階、それがきちっとできているからスウィングするときにパワーが発揮されることになる。
 タメは、強く打つためだけではなく、逆にボールをゆっくり打つことも、必要な要素となる。打ち急ぐことなく、ボールを十分に引きつけて打つには、最終的なスウィングに向けてのタイミングの取り方が重要で、特に振り出す直前の間の取り方、降り出すきっかけが大きな鍵を握ることになる。タメはそれらを調節する制御装置の役目も果たすのだ。

2008年12月7日日曜日

相手の身体能力を見極めて勝つ方法・16

調子に乗りやすい相手の場合

 このタイプの選手の場合、足があるので走って得意なショットで対応してくる。つまり、相手が得意なショットを多く打つ場合は負け試合、逆に得意なショットを封じたら勝ちになる

典型例・勢いに乗ると手がつけられなくなる
 自分のリズムで戦っているときは強いが、リズムを狂わされるとガタガタになる傾向がある

攻め方・得意なショット・苦手なショットを早く見抜く
 1.試合の序盤に相手に色々なことをさせ、苦手とするショットを発見したら徹底的にそこにボールを集める攻めを行う
 2.調子に乗りやすい選手は、得意としているショットのそばに欠点を持っていることが多い。得意なショットの周辺にそれまでとは違った性質のボール(長さやスピードに変化をつける)を送って様子を見てみる

対処法・相手のことを考えず、自分のペースを守る
 調子がよいのだから、とにかく相手のことは考えず自分が得意としているプレイをキープする。足を動かし続け、相手が何をしてきても常に自分の打点でボールをとらえることだけを考える

2008年12月6日土曜日

相手の身体能力を見極めて勝つ方法・15

相手が左利きの場合

 左利きは打つショットが特別なのではなく、左利きの打つボールに接する機会が少ないため慣れていないだけ。どうしても左利きの相手が苦手な場合は、思い切ってライジングでボールを処理してみる

典型例・スライス・サーブに対応できないことが多い
 左利きの打つ前衛側のスライス・サーブは、球種が分かっていても十分なレシーブができない

攻め方・レシーブの位置を1歩前にする
 左利きのスライスも、後衛側の右利きのスライスと同じ曲がり具合のはずだが、頭にインプットされている曲がりのイメージ量が圧倒的に違う。野球の左投げと左利き打者の関係と同じで、いかにも打ちづらそうに見えるが、それは右利き対右利きの関係の裏返しに過ぎない。しかし、右利きレシーバーにとってはバック側に入ることもあり、実際にレシーブが難しいのは事実。一歩前に構え、切れていく前にライジングで処理するように心がけるのがコツ。

対処法・サーブの球種に変化を持たせる
 前衛側に打つサーブでは、相手はバック側を最も警戒することになるので、その最も効果的なバック側を生かすためにも、センターへのフラット・サーブや、相手の身体に向かって跳ねるスピン・サーブを覚えるようにする。これらのサーブは完璧なものでなくても構わない。「見せ球」としての効果が十分に発揮されれば、それだけで相手を混乱させることが可能

2008年12月5日金曜日

相手の身体能力を見極めて勝つ方法・14

相手の予測がいい場合

 相手の予測がいいということは、それは才能だから、その部分で勝負すると不利である。下手にかわすことを考えるより、「次はどうする」と決めてプレイを行うようにする

典型例・逆を突いたつもりでも待たれている
 相手が予測のいい選手である場合、どうしてもパスが抜けない、逆にパスを簡単に抜かれてしまう、という場合が多い

攻め方・フェイントを効果的に使う
 予測がいい選手というのは、視野が広く相手のショットをギリギリまで見ていられる選手である。だからそこを逆手にとって、フェイントを使ってその場所で動かず相手をハメることを考えたり、同じ構えから違う球種のボールを打つようにする

対処法・最初からコースを決めたボールを打つ
 相手を観察してプレイを行うことを基本としながらも、相手がそこを逆用してきたと感じたら、今度は相手を見ることを止めて、「決め打ち」をしてみる。相手の動きに対して受動的に動くテニスから、自分で組み立てる能動的なテニスに転換するわけである。この両者を使い分けることで、本来の受動的テニスがさらに効果的なものとなる

2008年12月4日木曜日

相手の身体能力を見極めて勝つ方法・13

バランスが悪い相手の場合

 バランスが悪い相手はショットの安定性にも欠けるので、同じポジションで打たせないことが崩すポイント。一発勝負で崩そうと考えず、何球かをセットにした攻撃を心がける

典型例・ドタバタした動きで安定性に欠ける
 バランスが悪い相手と当たった場合、さらに相手のバランスを崩すことを考える

攻め方・正反対のショットを2本続けて打つ
 バランスが悪い選手というのは、ほとんどの場合、次のショットに対する準備が遅い選手である。だからこそ、性格の違うショット(ツイストやロブなど)を2本続けて打って、相手の準備の遅さを突き、さらにバランスを崩すような攻めを考える

対処法・スプリット・ステップをすべてのプレイで行う
 相手がボールを打つときに左右均等のバランスでボールを待てるようになれば、準備の遅れは解消できる。バランスが悪い人は、「打ち終わりは次のショットの始まり」との意識を持つことが大切。自分が打ったら、すぐにスプリット・ステップを行い、相手のボールに備える。スプリット・ステップは、ボレーに出るときだけに行うものではなく、ベースラインでのプレイでも行うべきものである

2008年12月3日水曜日

相手の身体能力を見極めて勝つ方法・12

ラケット面が薄い相手の場合

 ラケット面が薄い選手は手首を効かせて打つことになるので、ショットの安定性に欠ける反面、ヘッド・スピードが速く強烈なボールを持っていることが多い。一定のスウィングをさせないことが崩すポイント。速いボールと遅いボールのように、2球を1セットの攻めを心がける

典型例・思いがけないスピード・ボールを打たれる
 ラケット面が薄く手首を効かせて打ってくる相手は、安定性に欠けるが、ヘッド・スピードが速いのでボールにはスピードがある

攻め方・正反対のショットを2本続けて打つ
 手首を過度に使ってプレイする相手はボールを点でとらえる傾向にあるので、そのリズムを狂わせるために長いボールに短いボールを織りまぜるなどの、緩急をつけた攻めを考える

対処法・スウィングの方向を考える
 薄い面でフラットにボールをとらえようとすれば、どうしても正確な打点は限られ安定性に欠けることになる。しかし、下から上に振り上げる打法ならばスウィングの軌道上に打点があればいいので、手首を過度に使うことがデメリットとならず、逆に鋭くラケット・ヘッドを回すことができ、速いボールを打てるようになる

2008年12月2日火曜日

相手の身体能力を見極めて勝つ方法・11

相手が柔軟性に欠ける(動きが硬い)場合

 動きが硬い相手に対しては低いボールで攻める。膝に柔軟性がないタイプの選手ならば、その低いボールの攻めで相手のミスを誘うことができるはずだ

典型例・膝をうまく使えない
 膝の柔軟性に欠けることが多く、低いボールの処理が下手

攻め方・ラリー中でもツイストを多用する
 膝に柔軟性のない選手は、ストロークではダウン・スウィングになり、ロー・ボレーではラケット・ヘッドが落ちる欠点があるので、できるだけ低い打点で相手に打たせるのがコツ

対処法・楽な構えやタメを意識する
 柔軟性に欠けるタイプの選手は身体が硬いのかというと、必ずしもそういうわけではない。前屈のような、単純な柔軟性はあっても、動きが硬いという場合にプレイの柔軟性のなさが指摘される。その最も大きな要因は、過剰な力みや緊張といった精神的なもの。ボールを打つまでにどれだけリラックスした状態を維持できるかで、身体は硬くなったり柔軟になったりするものだから、できるだけ力を抜いた状態で構えたり、ボールを今までより引きつけることを意識してプレイするようにする

2008年12月1日月曜日

相手の身体能力を見極めて勝つ方法・10

相手前衛の身長が低い場合

 相手前衛の身長が低い場合、やはり効果的なのは高く弾むボールやロブになる。しかし、身長の低いペアはそうした攻撃に慣れていて対処がうまい場合も多い。やはり、試合の序盤で探りを入れるショットを打つことが大切

典型例・高いボールへの対処が難しい
 小柄な選手は動きが俊敏なことが多いが、どうしても高いボールで攻められると苦しくなる

攻め方・頭上を攻めるロブ
 前衛の身長が低いということはロブが常にプレッシャーとなる。ロブを多用して、警戒心を頭上に植え付けることで、左右への対応も鈍くなる場合が多いので、ロブは絶対有利な攻めになる

対処法・速い展開のゲームを心がける
 前衛が小柄なペアはロブで相手に主導権を握られると苦しくなる。そこでライジングでボールを処理する能力を高めたり、ボレー戦に持ち込んだりする、自分たちの小回りを生かしたゲームで、相手よりも先に攻めるようなプレイを心がける