2010年10月31日日曜日

新・正しい水分補給(9)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(8)

いつ何をどのくらい飲めば良いのか(3)
 しかし、量については、単純でわかりやすい目安はない。適量には個人差があるからである。その個人差は、発汗量に由来している。
 汗の量には、人によって大きな隔たりがある。1日のプレーでの体重減が500gですむ人もいれば、2~3kgの人もいる。それだけ発汗量が異なるのだ。当然、水分補給の適量は、それに準じている。
 従って、水分補給は、自分の汗の量を知ることから始まる、と言っても過言ではない。もちろん発汗は、気温や湿度など、外的環境によっても左右される。体調によっても違ってくるだろう。あらゆる状況で、自分の発汗量を計っておくことが大切だ。

2010年10月30日土曜日

新・正しい水分補給(8)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(7)

いつ何をどのくらい飲めば良いのか(2)
 またタイミングについても、原則はこまめに。これだけが重要だ。運動中、のどが渇いたからといって、もしくは汗で失われた分を一気に取り戻そうと多量の水を飲んでも、効果は薄い。吸収がそれに追いつかず、胃の中に溜まるだけだからだ。それだけ負担になってしまう。のどが渇いたからといって、一度に多量に飲むのではなく、計画的に少量に分けて飲む。特に運動中はこれが鉄則だ。

2010年10月29日金曜日

新・正しい水分補給(7)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(6)

いつ何をどのくらい飲めば良いのか(1)
 では、何をどのくらい、そしていつ飲めば良いのか。いずれもおろそかにできないとは言え、質と量、そしてタイミングに関する疑問の中で、最も重要なのは、量についてである。
 質については、ノンカロリー系(糖分を含まないもの)であれば、それほど神経質にならなくても良い。運動中にはとにかく水分を取ることが最優先だ。何を飲むかは、そのときの気分や状況、好みに応じて変えても構わない。運動をしていない場合は、色々なものをバランスよく飲めば良い。

2010年10月28日木曜日

新・正しい水分補給(6)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(5)

高温多湿の夏に注意すべきこと(4)
 従って、むっとするような暑い日にプレーするときは、こまめに着替えたり、風に身体をさらすなどして、汗の蒸発を促進させると良い。また、体表面の温度を下げるため、冷やしたタオルで身体を拭くのも良い。もちろん、発汗を促すため、運動中に水分を十分取ることも重要だ。

2010年10月27日水曜日

新・正しい水分補給(5)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(4)

高温多湿の夏に注意すべきこと(3)
 ちなみに、湿度と暑さの関係についても説明しておく。湿度が高いとなぜ暑く感じるのか。それは汗が蒸発しにくくなるからである。身体は汗をかいて蒸発させることで体温を下げようとするが、湿度が高い場合にはその汗の蒸発が妨げられる。汗が蒸発せず気化熱が放出されないので、熱が体内にこもりがちになる。その結果として暑く感じるという仕組みだ。

2010年10月26日火曜日

新・正しい水分補給(4)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(3)

高温多湿の夏に注意すべきこと(2)
 糖分の多い清涼飲料水の飲み過ぎは、夏バテの原因になることが多い。多量の糖分が血糖値を高め、それが空腹感を抑制するからだ。空腹感が乏しいと、偏食になりがち。それがビタミン不足などを招き、身体はさらに消耗する。寝付きが悪くなり、消化器官の働きが悪化し、体調もさらに悪化する。清涼飲料の飲み過ぎで、このような悪循環に陥ってしまうのだ。

2010年10月25日月曜日

新・正しい水分補給(3)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(2)

高温多湿の夏に注意すべきこと(1)
 特に、これから始まる高温多湿の夏には、普段からの水分補給が非常に重要な意味を持ってくる。何をどのくらい、そしていつ飲むか。それによって夏バテ予防や解消につながることもあるし、逆に促進することもある。炎天下での運動中には、熱中症や熱けいれん、脱水症状とも関わってくる。

2010年10月24日日曜日

新・正しい水分補給(2)

自分がどれだけ汗をかくか知ることが基本(1)

意識的かつ積極的に水分を取る
 水分が不足している状態では、パフォーマンスを100%発揮できないし、運動の効率も悪い。練習中だとすると、学習効果も薄くなる。つまり、運動選手にとって、水分不足は何も良い結果をもたらさない、ということである。
 水分補給の原則は「のどが渇いてからでは遅い」ということだ。のどが渇いたと身体が感じる前に体内に水分を補給してやらないと、運動のパフォーマンスはどんどん落ちる。従って、運動中はもちろんのこと、運動前、そして疲労回復のために運動後にも、失った水分を十分補給しなければならない。つまり水分補給は、運動をしている間だけの話ではなく、日常から実践しなくてはならない、ということだ。しかし、この点がまだおろそかにされていることが多い。

2010年10月23日土曜日

新・正しい水分補給(1)

疲労の予防と回復のために、何をどのくらい飲めばよいのか

 いよいよ本格的に夏が始まる。夏は大きな大会が続くが、いっぽう脱水症状や熱中症などにかかりやすい、危険な季節でもある。これらを未然に防ぐには、いかに水分を補給するかが大切。それには、緑茶やウーロン茶、ミネラルウォーターのどれが適しているのか。それともスポーツドリンク系が良いのか。何をどれくらい、そしてどのタイミングで飲めば良いのだろうか。

2010年10月22日金曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(16)

まとめ

 勝利、敗北または試合の時の正しいものの見方には、この各々にともなう感情をコントロールできることが不可欠である。自分のプレイに対する責任と向かい合い、自分と対戦相手のプレイ以外の理由を当てにせず、勝っても負けても相手のプレイを称賛できる選手だけが強くなれる。

2010年10月21日木曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(15)

テニス選手の使う弁解

1.昼食を食べ過ぎた。
2.食事を十分とらなかった。
3.水を飲みすぎた。
4.お気に入りのラケットが使えなかった(ガットが切れた、など)。
5.コートの状態が悪かった。
6.ボールが軽すぎた(空気が足りなかった)。
7.ボールが重すぎた(空気が入り過ぎていた)。
8.ボールが古かった(ツルツルだった)。
9.ネットが高すぎた。
10.ネットが低すぎた。
11.ラケットが滑った。
12.相手の方が実績があり、自分より上手だった。
13.相手は自分の知っている選手を打ち負かしているので、自分もやられる。
14.相手が本気で勝負をしなかった(ボールを打ち返していただけだった)。
15.相手の調子が悪かったので、本気でやったらかわいそうだと思った。

2010年10月20日水曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(14)

防衛規制(14)

12.拒否
 現実のある面を認めたり、受け入れたりすることを拒むこと。ヘビースモーカーは、喫煙の害についての科学的報告を否定する。体力に自信のある人は、自分が年をとるということを認めない。

2010年10月19日火曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(13)

防衛規制(13)

11.回避
 不安を生じさせ、抑圧された感情を引き起こす状況から遠ざかること。自信のない人は、要求されたことを回避する。体力に自信のない人ほど運動を回避する。学力に自信のない生徒ほど勉強しない。

2010年10月18日月曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(12)

防衛規制(12)

10.投射
 自尊心を保つために自分の否定的な感情や問題を、誰か他の人に移すこと。他人の嘘、ごまかし、偏見を責める人は、投射を行っていることが多い。

2010年10月17日日曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(11)

防衛規制(11)

9.合理化
 あるできごとに対して代わりの理由を見つけること。これは失敗やミスを包み隠し、打撃を和らげようとするものである。よくある合理化には、「時間さえあればもっと勉強できたのに」「先生はぼくのことを好きではないんだ」「試合はインチキだった」「気を散らすものが多すぎた」「ちょっと試してみただけだったから、たいしたことはない」などが含まれる。

2010年10月16日土曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(10)

防衛規制(10)

8.同一化
 理想としてある人を選んで、その人を見習おうとすること。高校生などは、有名タレントやロックスターの成功を自分のことのように共有するために同一化を行う。そしてこのスターの服装をまねたり、記事の載った雑誌などを買いあさったりする。

2010年10月15日金曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(9)

防衛規制(9)

7.反動形成
 否定的な感情をその逆のものに置き換えること。たとえば、教師に対して敵意を感じている生徒が、この受け入れられない感情の反動として教師に過度にべたべた接するようなことである。

2010年10月14日木曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(8)

防衛規制(8)

6.退行
 人生の最も初期の段階に後戻りすること。たとえば、何か壊したといって、自分に怒鳴り散らしたりするような夫を持つ妻が、自分の行動に対する責任を回避するために、赤ちゃん言葉でしゃべって、夫を「パパ」と呼んだりすることである。

2010年10月13日水曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(7)

防衛規制(7)

5.逃避
 白昼夢(はくちゅうむ)、想像、本、映画または過度の睡眠などによって、問題から逃げること。たとえば、家庭の事情がひどく悪い子どもたちは、手の込んだ空想の世界を作ることがある。

2010年10月12日火曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(6)

防衛規制(6)

4.昇華
 「受け入れられない」欲求を受け入れられるものに変換すること。たとえば、番長になりたいとか、攻撃的になりたいという社会的に受け入れられない欲求を、競争的な種目の部活動などの分野で生かすことである。

2010年10月11日月曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(5)

防衛規制(5)

3.置き換え
 何か嫌なことが起こったときに、それを引き起こした状況以外のものに感情を発散させること。たとえば、先生にしかられた生徒が、先生を蹴飛ばす代わりにごみ箱を蹴飛ばすようなものである。

2010年10月10日日曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(4)

防衛規制(4)

2.代償
 ある分野での失敗を別の分野での成功で埋め合わせること。たとえば、部活動をする人でいえば、自分の失敗で試合に負けた後、実績のあるクラブにかわったり、マネージャーの仕事を一生懸命したりすることである。

2010年10月9日土曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(3)

防衛規制(3)

1.抑圧
 わざと忘れること。つまり自分の意識から、恥ずべき嫌(イヤ)な経験や思考を追い出し、そんなものがなかったかのように振る舞うことである。抑圧は、通常無意識的に行われるが、防衛規制の最も基本的なものである。

2010年10月8日金曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(2)

防衛規制(2)

 選手は、勝ったときは謙遜(けんそん)し、負けたときはどんなにつらくても対戦相手を大いに称賛すること。しかし、敗北がとても耐えられないときもある。そんなときは、少なくとも「弁解」の客観的な臨床名を知っておくこと。

2010年10月7日木曜日

新・弁解や防衛規制を避ける(1)

「弁解は人の背中のようなものだ-誰もが持っているものなのだ」

防衛規制(1)
 心理学者として有名なジグムント・フロイトは、「失敗という状況はとても苦痛なので、人は自尊心を守るための防衛規制が必要になることがある」と述べている。けれども不幸にも、防衛規制は選手の成長を著しく阻害する。なぜなら、そのため、選手は自分の技術を上達させようという努力をやめてしまうからである。しかし実際は、いったんコートに入ったら、「相手が自分より上手なプレイをした」ということ以外に負ける理由はない。何かに悩んでいても、いったんコートに入ったら、それをコートに持ち込まないこと。

2010年10月6日水曜日

新・勝利を得るための精神コントロール(18)

試合の勝敗と自分の価値を同一化しない(6)

4.選手が挑戦するようになる場合
 この場合が、精神的粘り強さ(メンタル・タフネス)の意味するところである。危機的状況や逆境を、感情的な挑戦意欲に変えるのである。あきらめたり、落ち着きを失ったりせずに、積極的な感情をしっかりととどめておくことが重要である。それは、試合に勝つことやスコアより、プレイすることや苦しみに勝とうとすることを愛さなければできないだろう。この挑戦的意欲が、偉大な選手とそうでない者との境い目である。そして、最も重要なことは、この感情的反応が「訓練によるもの」であるということだ。

2010年10月5日火曜日

新・勝利を得るための精神コントロール(17)

試合の勝敗と自分の価値を同一化しない(5)

3.選手が不安になる場合
 言い換えれば、この状態は、息の詰まるような心理的圧迫を感じることである。試合などのプレッシャーの中で不安や恐れを抱くと、とてももろくなってしまうものだが、あきらめてしまったり、落ち着きを失ってかんしゃくを起こすよりは、はるかにマシである。
 選手が息詰まっているときは、まだその時点では、感情的には引き下がっていない。精神的粘り強さまで、後一歩の段階である。どんなに優れた選手でも、息の詰まるような思いをするのだ。しかし彼らは、それをわずかな、非常に短い時間内で消化してしまう。

2010年10月4日月曜日

新・勝利を得るための精神コントロール(16)

試合の勝敗と自分の価値を同一化しない(4)

2.選手が怒ってしまう場合
 また選手は、すぐに否定的な感情に押し流されて、気分の成り行きにまかせてしまう。すると、実際にプレッシャーは感じなくなるものだ。「もし負けても、落ち着きを失っていたからで、実際に負けたことにならない」からである。ほとんどの選手はこのような否定的感情の犠牲となる。

2010年10月3日日曜日

新・勝利を得るための精神コントロール(15)

試合の勝敗と自分の価値を同一化しない(3)

プレッシャーに対する選手の感情の反応は、主に4つに分類できる。

1.選手があきらめてしまう場合
 まず最初に考えられるのは、選手は一生懸命に戦おうとしなくなり、すぐに感情を引っ込めてしまう場合である。そうすれば、もし試合に負けたとしても、それほどプライドは傷つかない。もし負けるはずのない相手に負けても、自分が100%の努力をしなかったことにすれば、実際にその相手に負けたことにならないし、それほど傷つかないというわけである。
 風や、不正行為をした相手や、コートの悪さなどの言い訳をすることは、すべての意味であきらめということと同じである。このような言動は、回避行動の中では最も初歩的で、最も感情を崩壊させるものである。

2010年10月2日土曜日

新・勝利を得るための精神コントロール(14)

試合の勝敗と自分の価値を同一化しない(2)

 選手にとって大事なことは、試合の中でどれだけ良いプレイをするかということと、選手個人の人間としての価値とを、できるだけ分けて考えることである。その2つが結び付きやすいのは確かだ。つまり、自分の自信におよぶ危険が大きければ大きいほど、自分自身で感情をコントロールするのに時間がかかるのである。理想的な感情をコントロールするのが困難になってしまうわけだ。特に、感情をコントロールする技量が欠けている選手は、自分自身を見失わないように、それを防御する行動を取り始める。これらの回避行動は、選手の競争心や勝利へのチャンスを奪ってしまうものである。プレッシャーや危険と出会ったときに、選手が最もよく取る回避行動は、その選手自身が、どんなタイプの競技者であるかを証明している。つまり、その回避行動は、感情の反応として外に現れてくるのである。

2010年10月1日金曜日

新・勝利を得るための精神コントロール(13)

試合の勝敗と自分の価値を同一化しない(1)

 テニスは競争的なものである。そして、そこで受けるプレッシャーの根源は、自己尊重とともに潜在能力まで失ってしまうことにある。ある硬式のプロ選手は、次のように言っている。「自分がどれほどのプレイができたかで自分を判断されてしまうため、プレイがうまくいかなかったり、相手に負けてしまうことは、とても恐ろしいことです。もし私が良いプレイをすれば、幸せで自分自身に満足するでしょう。もしまずいプレイをすれば、私はみじめです。つまり、私のテニスで私の人生も決まってしまうようなものです」