観察と余裕と集中力の微妙な関係
ここまで読んで、「試合中に相手のことを観察する余裕なんてない」とか「技術が足りなくて作戦を立てる余裕がない」と感じる人もいるだろう。たしかに最初から、相手のフットワークの細かいクセまで見ることは不可能だし、そこに弱点を発見したからといって、即座にそこを攻撃できるというものではないだろう。
しかし、観察にも初級から上級までレベルがあり、初級の人には初級の人なりの見方、その人の技術レベルなりの攻め方があるわけだ。だから無理せずできることから始めていけばよい。
また、もうひとつ重要なのは、「余裕がないから観察できない」のではないということだ。逆に「観察することで余裕も生まれてくる」という面もある。観察と余裕は、そのように相互に影響を及ぼす関係なのである。
集中力も同様で、集中していなければよい観察はできないが、しっかりと観察しようという姿勢があると、逆に集中力も高まる。よく観察しようとすることで、余計なことを考えず、試合の世界に入り込むことができるわけだ。そうして集中力が高まれば、当然のように余裕も生まれてくる。
一番もったいないのは、まだ技術的に未熟だから、練習不足だからといって、また、何回やっても負けるからといって、試合を、特に強い相手との試合を敬遠してしまうことだ。そのような考え方だと、いつまでたっても納得のいく試合ができるようにはならないし、試合を楽しめるようにもならない。繰り返すが、試合をしながら、楽しみながら強くなるという姿勢を大切にするべきだ。
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